Message from Mr John Scott

 Scott氏は言わずと知れた、聖歌隊の合唱界では知らない人はいないと言っていいくらい、大変有名な指導者であり優れたオルガン奏者でもあります。
 1990年から2004年までセントポール大聖堂のクワイア・マスターを務めていました。ということは、ちょうどConnorがセントポールの選考試験を受けた年にScott氏もクワイア・マスターに就任したということになります。Connorがセントポールを選んだ理由の1つでもあるScott氏は、この頃から既に高い評判を得ていたようです。
 現在Scott氏はNew YorkのSt Thomas' Churchで男声聖歌隊のクワイア・マスターを務めています。

 Scott氏はConnorがセントポールに在籍した丸々5年間、Connorを直接指導しています。セントポールのCDはもちろんのこと、Connorのソロアルバムでもオルガン奏者を務めるなど、Connorと密接に音楽活動を行ってきました。(bacのCDでも名前を見かけますね。)
 いくらConnorが恵まれた才能をもっていたといっても、やはりScott氏の指導がConnorの才能を伸ばし、歌声を最も輝かせる大きな手助けとなったことは、間違いないでしょう。
 Scott氏にはファンが多く、彼が指導していた頃の聖歌隊の声質のほうが好きだという意見をよく耳にします。私も同感です。Scott氏がそう好んだのか、そういう指導法だったのかはわかりませんが、Scott氏が指導していた頃は硬質な声質で、その後はややソフトになっている感じを受けます。
 さて、そんなScott氏からもmessageをいただくことができました。最初は、こんな有名な方から本当にmessageをいただけるとは思っていなかったので、返事が来たときは信じられない思いでした。今はある大きなプロジェクトにかかりきりになっていて、大変忙しいということでしたが、丁寧に応対していただきました。


 それでは以下、Scott氏からのmessageです。


Connor Burrowes was, without doubt, one of the most talented and gifted choristers it has ever been my privilege to work with. From his very first audition with me, it was clear that he had a distinctive musical voice - bright, clear, focused, with just a hint of natural vibrato. He was an innately musical singer, with a great sense of flair, control and poise in performance. He excelled in baroque music, and had a sensibility for ornamentation that was both natural and stylish. He developed a treble voice of extraordinary musicality and power, and was bold, confident and unfailingly reliable in performance. We are fortunate that a significant number of recordings of this exceptional singer exist for us to enjoy.


「Connor Burrwesは間違いなく、最も有能で才能に恵まれた聖歌隊員の1人であり、一緒に活動できたことは、私にとって特別な名誉であった。一番最初のオーディションのときから、彼が響きの良い独特な声の持ち主であることは明らかであった。その声は輝かしく澄み渡り、一点に集中して発せられたものであり、ほんのわずかに自然なビブラートがかかっていた。
彼は生まれながらの音楽的才能をもった歌手であり、演奏においてのセンスの良さやコントロール力、安定性を兼ね備えていた。彼はバロック音楽に秀でていた。また、装飾音に対する鋭い感覚をもっており、それは自然で品のあるものだった。
彼のトレブルボイスは、素晴らしい音楽性とパワーに満ちたものとなり、演奏は勇気と自信にあふれ、常に頼もしいものであった。私たちにとって、この非常に優れた歌手の録音が数多く存在し、楽しみ味わうことができることは幸運である。」



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 今まで色々なところでConnorの歌唱力を絶賛する声を聞いてきましたが、やはりScott氏に「彼は生まれながらの音楽的才能をもっている」と言われると、重みがあるように感じます。最初のオーディションのことをScott氏が今でも覚えているくらいですから、Connorは幼い頃から本当に素晴らしい才能を披露していたのでしょうね。
 そしてさすがScott氏、音楽的な観点からConnorの歌声を分析してくれています。例えば「一点に集中して発せられた声」というのは、私も声楽を習っていたときに教わりました。厳密に言うと息を一点に集中させるのですが、そうすることにより真っ直ぐに伸びるクリアな声になります。逆にそうしないと、色々な方向に息や声が分散してしまって、響きのない声になってしまいます。
 また、ナチュラルビブラートや装飾音に対する優れたテクニックについては、私もCD紹介の記事で今までずっと触れてきたことなので、やはり私の観点は間違っていなかったのだということと、同じ見解をもっていたということを知って嬉しくなりました。(ちょっとずうずうしいですが…笑。)

 Blatchly氏、Scott氏と、Connorについて大変貴重なコメントをいただくことができました。Connorに直接指導していた方からコメントをいただくのは本当に貴重ですし、言葉の一つ一つに重みがあります。少しでも多くの方に、様々な角度からConnorの素晴らしさを知っていただけたら幸いです。


 *Scott氏のmessageは、本人の許可を得て載せています。無断コピーや転載は固くお断りさせていただきます。



 

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