St. Paul's Cathedral Choir時代


@「Christmas with St Paul's Cathedral Choir」
 実はこのCD、私がずーっっと探していて手に入れることができなかったセントポールのクリスマスアルバム、「St Paul's Christmas Concert」と同じものです。
 なぜ、「私が唯一持っていないConnorCD」とずっと言ってきたのに手に入ったかといいますと…このアルバムは2002年頃に廃盤になったらしいですが、廃盤の話を聞いてそうなる前に余分に買って持っていた方がいらして、ご親切にお譲りしていただくことができたのです!!もう、ずーっっと私の念願だったCDなので、聴くことができて大感激でした。

 ただ、鋭い方はお気づきでしょう。BCSDなどネットで紹介されているものとジャケット写真が違います。ジャケットだけではなく、曲目も若干違います。なぜなのか詳しくはわかりませんが、ブックレットに書いてあったことによると・・・「The Christmas Collection」という5枚セットのクリスマスアルバムがあり、そのうちの1枚であるとのことです。ちなみにこのCD以外ではウェストミンスター大聖堂の名前もありました。
 というわけで、BCSD紹介の方は純粋にセントポールがリリースしたアルバムとして、こちらのはクリスマスに関係したアルバムを集めた企画物で、監修しているレコード会社が違うのかなと予想しています。

 さて、アルバムの中身ですが・・・特徴は何と言っても大規模なフルオーケストラ伴奏であることでしょう。いや、伴奏というよりもオケ自体が重要な音楽を担っており、このようなクリスマスアルバムを聴いたのは初めてでした。
 そのオーケストラは1946年設立の、イギリスでも有名なRoyal Philharmonic Orchestraです。なので演奏技術もかなり高いのではないでしょうか。曲の中にはinstrumentalのみの曲も3曲含まれており、堂々としたフルオケ演奏を聞かせています。
 クリスマスアルバムというと華やかで軽快な曲調が多いですが、このアルバムはしっかりとしたオケ伴奏と静かに神秘的に歌う曲が多いせいか、全体的に品があり高級感が漂うような雰囲気に仕上がっています。重ね重ね、このようなクリスマスアルバムは初めてです。


      1.Fantasy on Christmas Carols
      2.Sleepers, Wake
      3.The Sussex Mummers' Christmas Carol
      4.A Legend      Soloist: Thomas Colwell
      5.A Spotless Rose
      6.Sleigh Ride
      7.The Noble Stem of Jesse
      8.Es Ist Ein Ros Entsprungen
      9.A Christmas Sequence
      10Bethlehem Down
      11A Maid Peerless   Soloist: Thomas Colwell
      12A New Year Carol  Soloist: David Nickless, Jonathan Seyghal, Connor Burrowes
      13Christmas Day


 第1・6・8曲目がオケのみです。1曲目は「Tha Holly and Ivy」など様々なお馴染みクリスマスソングのメドレーになっています。オケのみで聴くのもなかなかいいものです。6曲目は鈴の音がシャンシャンと鳴り響き、クリスマスムードを高めています。
 第2曲目のみが男声合唱となっていますが、他は全てフルコーラスかトレブルのみです。全体的にはトレブルが目立っているように感じます。
 このCD1992年7月の録音となっており、Connorは若干9歳、正規の聖歌隊員に昇格してからまだ1年ちょっとしか経っていませんが、やはりコーラスではConnorの声がガンガン聞こえます。このCDで初めてソリストに抜擢されていますし、Connorの実力が開花しているまさに真っ最中だったことでしょう。

 さて、そのConnorが初めてソロを歌った、ずっと私が聴きたいと思っていた第12曲目の「A New Year Carol」についてです。曲は2分ちょっとと短く、似たようなメロディーをフレーズごとにトレブルソロ→コーラスと3回繰り返します。そのトレブルソロ3回をDavidJonathanConnorの3人がこの順番で1人ずつ歌います。
 この曲ではオケではなくピアノ伴奏のみになり、とても柔らかく優しい曲調です。ソロが歌うフレーズも大変短いですが、ほとんど同じメロディーを3人の異なる声質で聴けるのも面白いです。DavidJonathanはともにConnorより2学年ほど年上で、さすが練習を積んできているというような、落ち着きと深みのある歌声です。
 Connorの声はというと、実は初めて聴いたときに、あれ?これがConnor?と思ってしまいました。音程が低いというのもあるのか、静かな曲調のせいなのか、あのConnorのキーンとした輝かしい声ではなかったのです。でも聴いているうちに、まだあどけないですがやっぱりConnorだ!と思いました。何だかちょっと緊張しているような声にも感じました。こんな本当に初期の頃のConnorのソロを聴くことができて、本当に感動です。
 ちなみにDavidはきっと、Scott氏がConnorの隣りに並ばせ面倒をみてくれたという彼でしょう。(ちょっと苗字の表記が違いますが…)尊敬する先輩と一緒にソロを歌うことができて(しかも初めての!)、さぞ感慨深かったことでしょうね!

 最後の第13曲目は、1曲目がオケのメドレーだったかわりに今度はコーラスによるメドレーで締めくくっています。

 長くなってしまいましたが、とにかくフルオーケストラによる壮大で神秘的な、品のある作品に仕上がっています。Connorの先輩方の、しっかりとした硬質な歌声のソロを聴けるのも貴重です。この記事を読んで、少しでもこのアルバムの雰囲気を感じ取っていただけたら幸いです。



A「THE ENGLISH ANTHEM Volume5」
 THE ENGLISH ANTHEM」はイギリスの讃美歌集で、私の知る限りセントポールでは現在8巻までCDを出しているようです。この5巻は1994年6月の録音で、Connorはまだ若干11歳3ヶ月です。声がとても初々しい!曲は全部で11曲あります。

 
第9曲:「Blessed are tne pure in heart」(Connorのソロ有り)

 Connorはこの曲で、Oliver Winstoneとともにソロを歌っています。でも、2分弱の短い曲ですが、ソロを歌っているのは最初の「Blessed sre the pure in heart」のフレーズのみ。しかもその部分は2人のハモリになっているのでうが、音量が小さすぎてどちらがソプラノでどちらがメゾなのか判別できません…。私の予想では、Connorがソプラノだとは思うですが…。
 録音は大聖堂の中で行われたようです。私も実際に行ったことがあるのですが、大聖堂の中はかなり声が響き渡り、天上から降りそそぐように聞こえます。ただ、あまりに響くので録音にすると言葉がはっきり聞こえないかもしれません。合唱と同じ音量状態で録音しているでしょうから、どうしてもソロが聞こえづらくなるのでしょう。その点はとても残念です…。

 でも、若干11歳でソロを務めたConnorはさすがですね!ソロ以外の合唱曲でも、Connorと思われる晴れやかな高音がガンガン聞こえてきます。
 いつも少年合唱ばかり聴いていましたが、たまにフルコーラスで聴いてみると、トレブルの声が厳かな雰囲気の中でピュアな透明感を際立たせていて、より効果的に聞こえました。
 それに、ソロアルバムの曲よりもかなり高音を出す曲が多く、トレブルたちの一生懸命で純粋無垢な声に癒される感じがしました。



B「Christ's Nativity」(BRITTEN
 このアルバムは、セントポールの少年聖歌隊が合唱に参加していますが、HOLST SINGERSというアマチュア合唱のグループがメインであるせいか、ブックレットの表紙にはセントポールの名前はなく、今までConnorやセントポール関係の検索で引っかかったことがありませんでした。
 そのため、このアルバムを見つけたのは他のCDよりもずっと最近なのですが、Connorの歌声を聴ける新たなCDを発見できて嬉しかったです。

 録音は1995年6月で、先ほども書きましたが合唱のメインはHOLST SINGERSで、ソプラノとアルトのソリストも入っています(女声です)。
 Connorがソロを務めているのは「A BOY WAS BORN」という曲なのですが(ThemeVariationT〜Yの7曲から成る)、この曲は混声と少年合唱のための曲となっており、この曲にのみセントポールの少年聖歌隊が参加しています。


   
第4曲目:「A BOYS WAS BORN VariationV」
           〜Jesu, as Thou art our Saviour〜(コナーのソロあり)


 Connorのソロはこの1曲のみです。“Jesu”という歌詞をConnorはひたすら「Jeーーーーsu」と音を上げたり下げたりしながら歌い、それに合唱が静かに重なっていきます。厳かな中でConnorの明るくあどけない声が神秘的に響いています。Connorは“Jesu”を4回歌いますが、それぞれ微妙にメロディーが変化し、特に最後の4回目はクライマックスの高音に向かって真っ直ぐに声が伸びていき、Connorの澄み切った声が響き渡ります。
 自分がConnor大好きでひいき目で見ているとしても、なんでこんなにConnorの声はいつもその曲調にピッタリなんだろうと思ってしまいます(笑)。

 その他に、第15曲目に「JUBILATE IN C」という曲がありますが、これはAnthony Wayくんが出演したドラマの中で歌われていた印象的な曲です。特別好きというわけではありませんが、耳に残る曲です。
 
 また、最後の第16曲目は「TE DEUM IN C」ですが、これはConnorがソロを歌ったことのある曲です(「Passiontide at St Paul's」参照)。このアルバムでは少年聖歌隊ではなく成人の合唱団が歌っています。成人ヴァージョンの方が落ち着いたしっとり感はありますが、やはり少年聖歌隊のキラキラとした高音の方が、私の耳には合っているようです(聴きなれているせいかもしれませんが…)。ソリストは女声ソプラノですが、やはりConnorの輝く声に比べると印象薄になってしまいます(--;)


C「THE ENGLISH ANTHEM Volume6」
 セントポールのANTHEM集第6巻です。1995年7月、Connor12歳のときの録音です。11歳のときに比べると声の幼さはだいぶとれていますが、あどけなさはまだ残っている感じがします。

 
12曲目:「Remember,O Lord,what is come upon us
                     (Connorのソロあり)

 
曲の始まりは短調で、男声の厳かな朗々たる歌声が続きますが、中間でまたもやConnorの霧が晴れていくような、闇に灯りがともるような輝く歌声が響きます。このようなパターン(男声→Connor→男声+トレブル)の曲の場合、男声の荘厳な歌声とConnorの輝く歌声の対照的なギャップが、絶妙な効果を生んでいると思います。
 ソロ部分の歌詞は「For this our heart is faint,for these things our eyes are dim.」のみですが、様々なメロディーで繰り返します。ピンと張り詰めていた空気がここでゆるみ、ホッとした雰囲気が漂うようなそんなイメージです。
 そしてConnorの声をきっかけとしたかのように、ソロのあとは曲調が明るくなり、テンポも速くなります。後半はフルコーラスとなり、生き生きと壮大な雰囲気で終わります。

 また、このアルバムでもソロ以外の合唱曲(全13曲です)でConnorの歌声がかなり響いて聞こえます。特に印象的な曲は第10曲目の「AntiphonV」でしょう。一曲通してずっとものすごい高音で歌っています。ソロではありませんが、Connorと思われるクリスタルな歌声が際立っています。
 メロディーも宗教曲独特の、厳かで身の引き締まるような神秘的な雰囲気をかもし出しています。この曲もぜひ一度聴いてほしいですね。



D「Passiontide at St Paul's
passiontide3.jpg アルバムのタイトルは「Passiontide at St Paul's」となっていますが、サブタイトルが「A sequence of music for Lent, Passiontide and Easter」と書かれており、全13曲がLent, Passiontide, Easterの3つに分類されています。

 「Easter」は復活祭のことですが、「Lent」と「Passiontide」は調べても違いがよくわかりませんでした両方とも「受難節」または「四旬節」などと訳され、イースター前の40日間を指します。この受難節の期間は、キリストが十字架にかけられた御受難を覚え、身を謹んで節制に努め、祈りながら生活を送るのだそうです。
 喜びを抑える時期という伝統から、礼拝では「栄光唱(グローリア)」や「アレルヤ唱」は歌われず、福音書朗読前のアレルヤ唱は詠唱に変えられるのだそうです。つまり、このアルバムのような曲ということでしょう。
 「sequence」とは続唱と言われるもので、福音書朗読の前に時々歌われる聖歌という意味もありますが、ここではただ単にセントポールで歌われる「四旬節、受難の聖節、復活祭用の一連の音楽」という意味になります。

 このアルバムは1996年6月の録音で、Connorは全13曲中3曲ソロを務めています。今まで紹介してきたアルバムではほとんど全曲中1曲のソロでしたが、1996年はConnorがセントポールのHead Choristerを務めた年であり、セントポールでの全盛期と言って良いでしょう。この年の録音が一番多く残されていることからもわかります。年齢で言うと13歳3ヶ月、日本の学年でいうと中学2年生になったばかりの頃です。

  第1曲目:「A lent Prose」      Soloist:Connor Burrowes, Edward Burrowes
  第3曲目:「I waited for the Lord」  Soloist: Connor Burrowes, Edmund Hill
  第13曲目:「Te Deum In C」      Soloist: Connor Burrowes

 第1曲目と3曲目がLentで、13曲目はEasterに当たります。
 第1曲目は、Connorが弟Edwardとともにソロを務めた唯一の曲です(Edwardはこのときまだ10歳!)。でも残念ながら二重唱ではなく、それぞれが1フレーズのソロを担当しています。トレブルの他にバスのソロもあり、曲は合唱→バスソロ→合唱→トレブルソロの繰り返しです。トレブルソロは2回あり、ConnorとEdwardがそれぞれ1回ずつソロを担当しているのですが…例によって(?)音量が小さすぎる上にフレーズが短く高音も出てこないので、どちらが先に歌っているのかはっきりと判別できません。たぶん、Connorが1回目の方だとは思いますが。どちらかというとBurrowes兄弟の中ではConnorとPatrickの声が似ていると言われますが、こうやって1曲の中で聴くとConnorとエドもよく似ています。2人の二重唱を聴けなかったのが残念です。

 第3曲目「I waited for the Lord」はメンデルスゾーン作曲で、トレブルではよく歌われる曲です。他にメンデルスゾーンで有名なトレブル曲は、「O for the Wings of a Dove(Hear My Prayer)」でしょう。柔らか味のある優しい曲調が多く、メンデルスゾーンの曲は好きです。
 曲はEdmund Hillとの二重唱になっています。EdmundはEdwardとも「トネリコの木立」でソロ共演しています(次の「How can…」記事参照)。「Blessed is he whose unrighteousness is forgiven」でConnorと二重唱を歌ったEamonn O'dwyer(「The Complete Anthems and Services -9」参照)に比べると、Edmundはメゾに近いわけではなく、むしろConnorやEdward寄りの声をしています。パッと聴いただけではどっちが歌っているのだろう??と迷うほどです。
 「Blessed…」のように声質がはっきりと違う2人の二重唱も効果的でしたが、「I waited…」ではむしろ声質の似た2人の二重唱の方が曲調にピタリと合っているように思います。2人とも明るく生き生きと歌っていて、何だか微笑ましくなってきます(笑)。ソプラノ・メゾという分け方をしているかはわかりませんが、それでいうとやはりConnorがソプラノの方を歌っていると思います。ソリストに選ばれるのはもちろん歌唱力も重要ですが、その曲に合った声質のソリストを使っているもの面白いと思います。
 2人とも音程が正確で、ハーモニーは絶妙です。トレブルソロに男声、そしてフルコーラスと徐々に合唱が重なっていくのも特徴的です。声の重ね方はメンデルスゾーンならではではないでしょうか。

 第13曲目「Te Deum in C」は「われら神であるあなたを讃えん」という神への感謝をテーマにした聖歌の一つです。ConnorがSoloistとして堂々とした歌い方で合唱を引っ張っています。いつもの合唱曲と同じように初めは合唱で始まり、中間部分でConnorのソロとなります。合唱が一度落ち着いて、安らぎを与えるような穏やかな声で歌っています。
 ソロの後はまた合唱となり、最後に向かって盛り上がっていきます。前半部分の合唱もそうですが、合唱部分はかなり激しい感じの曲調で、トレブルもかなりの高音を出しています。その合唱の中でもConnorの高音が際立って聞こえます。ソロでも合唱でもConnorの輝く声が目立ち、生き生きとした様子が目に浮かぶようです。

 Connorのソロ曲は以上3曲ですが、このアルバムの中ではなんと
Anthony Wayくんのソロ曲も1曲含まれています。第8曲目の「Drop, drop, slow tears」という曲です。1分51秒という大変短い曲ですが、曲の最後の部分でソロを歌っています。テレビドラマに出演して一躍有名になった次の年の録音ですが、ドラマの頃に比べると声は安定していて、Anthonyの特徴である優しい声で歌い上げています。曲もゆったりとした穏やかな曲調で、彼の優しい声がピタリと合っています。この曲もおススメです。
 このアルバムは全盛期のConnorのソロを3曲聴くことができ(ソロだけはなく合唱でも!)、Anthonyのソロも入っているのでかなりおススメの1枚です。



E「How can I keep from singing? 
 このアルバムは、セントポールの中で一番好きなアルバムです。なぜなら、選曲が好みばかりというのは言うまでもなく、Connor時代の唯一のChoristers(少年聖歌隊員)アルバムであるということ、Connorに初めて出会った曲「How can…」が収録されていること、そしてConnor以外にも優れたソリストが多数活躍するアルバムであるからです。
 
 このアルバムは全16曲中6曲がソロありの曲で、Connorを含め11人がソリストとして歌っており、しかもその6曲ともすべて違うソリストが歌っています。Connorファンになりたての頃はConnorのソロ曲にしか興味がなく、そればかり聴いていました(このアルバムではつまりHow can…のみということ)。そんなわけなので、なぜConnorHead choristerなのにソロが1曲しかないの!?とその頃は思ったものです(笑)。
 でも今改めてこのアルバムを聴いてみると、Connor以外のソリストも歌唱力が高く、いかにConnor時代のChoristersのレベルが高かったかということが推測できます。そしてそのレベルの高い聖歌隊員の中でHead choristerに選ばれたConnorは、きっと最もリーダー性にも歌唱力にも優れ、一目置かれる存在だったのかなと思います。


   
1.PIE JESU Soloist Anthony Way
   2.FOR THE BEAUTY OF THE EARTH
   3.LONG SINCE IN EGYPT'S PLENTEOUS LAND
   4.THE COLL Soloist Philip Martin
   5.THE LOST CHORD
   6.HOW BLEST ARE THEY
   7.LIKE A MIGHTY RIVER FLOWING Soloists Simon Acott/Richard Bannan/
                             Tom Appleton/Edmund Melik-Mourad
   8.LET THE BRIGHT SERAPHIM Soloist Crispian Steele-Perkins(trumpet)
   9.THE ASH GROVE Soloists Edmund Hill/Edward Burrowes
   10BROTHER JAMES' AIR Soloists Oliver Winstone/Jeremy Edwards
   11LINDEN LEE
   12ANNIE LAURIE
   13HOW CAN I KEEP FROM SINGIG?
Soloist Connor Burrowes
   14LIFT THINE EYES
   15FOR THE FALLEN Soloist Crispian Steele-Perkins(trumpet)
   16A GAELIC BLESSING


 先ほども書きましたが、ソロ曲は全て違うソリストが歌っているのが特徴です。Connor時代特有の硬質で響きのある、透明感あふれる声質の少年ばかりです。でもその中でも当然ながらそれぞれ微妙に違う声質を持ち、その曲に合った声質のソリストを選び曲調にピタリと合っているのもさすがだなと思います。
 例えば第10曲目。イギリスで大変ポピュラーな聖歌であり、しんみりとするような非常にきれいなメロディーです。追悼に使われることが多いとのことですが、ソリストは2人ともメゾ寄りの落ち着きのある平たい声質です。この2人は他のソリストと声質が違い、その違った声質がより効果的に曲調にピッタリと合っています。
 この頃は、ソリストを務めることのできるレベルの高い少年がそろっていたのだと思いますが、その少年たちの起用の仕方が実に絶妙で、さすがJohn Scott氏!と思います。

 第9曲目は日本語で言う「トネリコの木立」です。最初に聴いたのは「天使のコーラス」という少年合唱のオムニバスアルバムの中でした。ウェールズ民謡ですが、森の木々や鳥、小川など美しい自然が思い浮かぶとてもきれいな曲です。メロディーはいたってシンプルですが、中間部分の盛り上がりと最後にまた落ち着いていくきれいなメロディーラインが好きです。
 ソリストはまだ11歳だったエドとEdmundくんです。ソロが前半と後半に分かれているのですが、恥ずかしながら私は今だにどちらがエドなのか判別できません

 そして第13曲目の「How can I keep from singing?」です。私がConnorに出会った初めての曲であり、とても大好きな曲です。日本語では「歌わずにはいられない」という曲名で、偶然なのかわざとなのか(笑)、Connorが自分の気持ちをそのまま歌っているかのようです。
 初めてこの曲を聴いたとき、なんて落ち着いた大人びた声なのだろうと思いました。一瞬、本当に少年が歌っているのだろうかと思ったくらいです。それまではボーイソプラノというと、もっとふわっとした少年のかわいらしさが前面に出ている声というイメージでした。このCDの録音は1996年7月であり、Connorのセントポールでの最後の録音となっています。初期の頃の幼さやかわいらしさは完全になくなり、しっとりとした貫禄のある歌声を披露しています。
 また、Connorの歌唱テクニックが存分に発揮されています。曲はゆったりとしていて音を伸ばす部分が多いですが、実にナチュラルなビブラートを使っています。もう1つは、歌い方にきちんと抑揚をつけていること。特に「I hear it's music ringing(58)の歌詞の「ringing」の部分。“rin”から“ging”へ音が高くなるのですが、やや力を抜いて少し引いた感じにして高音を響かせています。音が上がるとどうしても力が入ってしまいがちですが、高音が弱々しくならない程度に上手く声を引いて響きを保っているのがさすがConnorです。
 そして曲の終わり部分のコーラスに重ねたConnorの高音(G5)は、本当に天上からふりそそぐ天使のような声になっています。実はConnorのソロ部分は曲の長さに比べると短いのですが、存在感と貫禄を改めて感じさせてくれるそんな1曲です。

 このアルバムでもう1つ嬉しいのは、ブックレットにChoristersの写真が2枚載っていることです。裏表紙は白いサープリスを重ねた式服での集合写真で、Connorは1列目の左から2番目に写っています。また、ブックレットの中央には私服でのChoristersのみの集合写真もあり、こちらは式服と違って普段のあどけない少年らしさが見える1枚です。Connorは1番後ろの右から3番目に写っています。
 実は一番初めにこの写真を見たとき、エドやアンソニーはわかったのですが、Connorはいくら探してもわからなかったのです。それまではbacのジャケット写真でしかConnorの顔を見たことがなく、あまりにもbacとの印象が違ったのでわかりませんでした。bacのジャケット写真は無表情かちょっとにらんだような写真ばかりでしたが(笑)、このアルバムでは2枚とも笑顔で写っているのでとてもかわいらしいです。
 中央部の写真にはChoristersの名簿が載っており、ConnorにはHead Choristerのしるしがついています。Edmundくんの名前もあるのですが、残念ながらどの子が彼なのかわかりません…。。アンソニーも笑顔がかわいらしいです。

 2007年1月にロンドンのセントポール大聖堂に行ってきましたが、地下のショップに行ったときに店内でこのアルバムが流れていたのです。そのうち曲が「How can I…」になり、CDとはいえ本場でConnorの曲を聴くことができて、感慨深いものがありました。CDコーナーもあったのですが、棚の陳列の様子を見るとやはりこのアルバムが一番売れているようでした。
 
 ここでは数曲しか紹介できませんでしたが、他もきれいな曲ばかりです。トランペットのソリストが参加している曲が2曲ありますが、意外にも(?)合唱とマッチしていて、Choristersの生き生きとした声とトランペットの鋭い快活な音がとても合っています。
 少年合唱ファンにはこのアルバムは必見(必聴?)です!もし持っていない方はぜひ聴いてみてください!



F「The Music of St Paul's Cathedral
 1986年から1998年までの間にHyperionで録音された、セントポールのAnthem、Hymn、Psalmを集めた、ベスト盤のようなもので、全16曲です。
 Connorのソロ曲では、「i waited for the Lord」(「Passiontide at St Paul's」より)が収録されています。Edmundくんとの二重唱です。
 
 ConnorとEdmundの他にトレブルソロとして選ばれているのは、第13曲目「Miserere」のJeremy Buddくん(trebleT)とNicholas Thompsonくん(trebleU)です。この2人は1990年頃に活躍していたようで、特にJeremyくんの方は変声後も歌を続けており、かなりの枚数のCDを残しています。
 少年合唱ファンの方の中では、「Miserere」が好きだという人が多いですが、トレブル2人の高音とハーモニーがしっかりと響いており、なかなかレベルが高いのではないかと思います。(そんなにたくさんMiserereを聴き比べているわけではありませんが…)

 その他の曲は全てフルコーラスで、パイプオルガンもふんだんに使っており、大規模で壮大な感じの曲が多いです。John Scott氏のオルガンソロも1曲含まれています。フルコーラスの中でもトレブルの硬質な声がしっかり響いており、聴いていてとても心地良いです。硬質な声が好きな人にはおススメです。

  
第3曲目:「I waited for the Lord」(with Connor Burrowes, Edmund Hill trebles)

 このCDのジャケットは、少年聖歌隊が制服を着て歌っているところで、セントポールのCDの中では唯一ボーイズが表紙を飾っており、かなり印象的です。黒と赤を基調としたこの制服がまた格好いい!!あ〜Connorが着ているところも見てみたかったなぁ…笑。
 たぶん私の見間違えでなければ、Edwardが写っているので、録音年が一番新しい1998年頃のボーイズではないかと思います。

 また、ブックレットの中に聖歌隊についての記述があったので、簡単に紹介したいと思います。
 現在聖歌隊はボーイトレブル30人、候補生8人、カウンターテナー(アルト)6人、テノール6人、バス6人から成っており、日常のサービスやコンサートなどのために1日2回練習をしているとのことです。



  

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