boys air choirとして



@「少年のレクイエム」

 このアルバムはbacのデビューアルバムであり、私がコナーに惚れ込むきっかけとなった、一番好きなアルバムです。「レクイエム」は「鎮魂歌」と言われるように、死者のためのミサ曲です。そのため、曲はどれも穏やかで優しく、ゆるやかなテンポの曲調となっていて、コナーの声をたっぷりと堪能することができます。
 bacは少年合唱のユニットですが、このアルバムではアンサンブルは数曲しかなく(しかも伴奏のようなもの)、実質コナーのソロアルバムとなっています。

     1.Pie jesu (G.Faure)      7.Pie jesu (J.Rutter)
     2.Pie jesu (A.L.Webber)     8.Benedictus (C.Gounod)
     3.Sanctus (G.Faure)       9.Pie jesu (M.Durufle)
     4.Kyrie (B.Britten)       10.Lacrimosa (W.A.Mozart)
     5.Agnus dei (W.A.Mozart)    11.In paradisum (G.Faure)
     6.Benedictus (B.Britten)    12.Angus dei, in a dream (W.A.Mozart)


 「Pie jesu」が4曲入っていますが、フォーレ作曲の1曲目はボーイソプラノなら必ず歌うといっていいほど有名で、数々の録音があります。でも、その中でもコナーの「Pie jesu」は絶賛されることが多いです。このCDの第1曲目を飾るにふさわしく、透き通るような硬質の声が天上に真っ直ぐ突き刺さるようで、それでいてどこか柔らかく安らぎの得られるような…そんな印象です。特に、2分過ぎくらいのrequiem」から「Pie jesu」に入るところの、「エーーーム」と伸ばすところはクレッシェンド+ビブラートでさすがコナー!!といった歌唱法です。他の録音ではritardandoをせずにサラッと歌っているので。
 実は私個人としては、Webberの「Pie jesu」(2曲目)の方が好きです(少年合唱に出会う前から知っていた曲なので…)。途中からソプラノ・メゾソプラノに分かれるのですが、ここではコナーの重ね録りになっています。でも、それがまたきれいに響き合っているので良いと思います。コナーの声に合うのはコナーしかいないのかもしれません(笑)。高音へ移るときが実に自然で、特に最後の「Ah〜」の高音が素晴らしいです。
 Rutter作曲(7曲目)はだんだんと順番に音階が上がっていって、最後にかなりの高音が出てくるのが特徴です。その高音が天上に澄み渡るような、広がりのある優しい声になっています。この曲を聴くと、本当に安らかな気分になります。

 4曲目の「kyrie」はいきなり高音から始まるという難易度の高い曲ですが、コナーは正確な音程かつ凛とした真っ直ぐな声で難なく歌っています。
 「Agnus Day」(5・12曲目)はコナーの最も好きな曲だそうで、コナー独特のトリルが良く聴ける曲です。
 「Lacrimosa」(10曲目)もよく絶賛される曲です。このアルバムの中では唯一穏やかではなく、緊迫感のある曲です。原曲は合唱なのですが、コナーはソロでこなし、高音も切迫した雰囲気が伝わるような力強さが出ています。

 8曲目の「Benedictus」(グノー)は私の最も好きな曲で、コナーにのめり込む一番のきっかけとなった曲です。ここでは書ききれないので、「Benedictus」だけ独立した記事を下記に書きたいと思います。



@'「Benedictus(C.Gounod)

 「少年のレクエイム」を買ってからしばらくは、やはり1・2曲目の「Pie jesu」が今まで聴いたことがある曲だったので、その2曲をよく聴いていました。他の歌手と比べてConnorヴァージョンの方が好きだなあというのが単純な第一印象でした。
 でも、1曲目から通して何回か聴いているうちに、第8曲目、グノー作曲の「Benedictus」に惹かれていきました。メロディーが私の好みにビタリだったし、何よりConnorの素晴らしい歌唱力が際立っていたからなのです。「こんないい曲がこのアルバムに入っていたんだ!!」と感動を覚えました(笑)。

 「Benedictus」とは
「祝福されるべきもの」という意味で、歌詞の対訳は「主の御名において来る方に祝福が(ありますように)」となっています。なので、コナーの歌声も喜びに満ちたものになっています。

         
Benedictus qui venit in nomine Domini,
         benedictus qui venit in nomine Domini,
         benedictus,
         benedictus qui venit in nomine Domini.

 
 歌は上記の歌詞(ラテン語)を繰り返すという単純なものなのですが、なぜ私がこの曲にこれほどまで惹かれたかというと・・・
 曲が最も盛り上がる
クライマックス(約2分43秒のところ)で、「venit in」という歌詞でB(べー:シ♭)からG(ゲー:高いソ)に音が上がる箇所があります。ここの部分でコナーは、独特のクレッシェンド+ビブラートを使っており、本当に喜びに満ち溢れた声で、聴いている人を天上に連れて行ってくれるような(?)、本当に安らかな心にしてくれるような、素晴らしい歌唱力を披露しています。もう、何と言って表現していいかわからないのですが、とにかくコナーの歌の中では、私はこれ以上の表現力を披露している曲はないと思っています。
 そんなわけで、「Benedictus」、特に今述べた箇所を聴いてからはコナーの声のとりこになり、コナーに一気にのめり込むようになったのでした。

 ちなみに、「venit in」の発音を日本語表記にすると「ヴェーニティン」となりますが、先ほど述べた箇所では、コナーは「ヴェアーニティン」と発音しているように聞こえます。これは、高音を出す場合、しかも低音や中音域から一気に高音に上がる場合、「エ」や「オ」などの母音は高音を出しづらいため、高音を出しやすい「ア」の母音を入れているからだと思われます。(私も声楽の先生に、「ア」で発音していいと言われたことがあります。)

 もう1つちなみに、先ほど述べたのと同じようなメロディーが約51秒の箇所でも現れます。ただし音の高さが1音低く、BからF(エフ:高いファ)に上がっています。ここの部分でもビブラートは使っていますが、少し控えめになっています。また、このメロディー以外でも、長く伸ばす部分でわずかにビブラートを使っていたりと、コナーの幸福感をもたらすようなビブラートを堪能することができる曲です。

 もし「benedictus」(グノー)を聴いたことがない、もしくはそれほど注意して聴いたことがない方は、ぜひ2分43秒の箇所に注意深く耳を傾け、幸福感に浸ってほしいと思います。



A「believe

 「believe」はbac2ndアルバムで、完全にConnorのソロとなっており、5つの賛美歌を歌ったキャロル集です。(「キャロル」とはキリスト教会で、主としてクリスマスの季節に歌われる民謡調の祝いの歌のことです。)
 このCDのレコーディング中にすでに変声の兆候があったそうで、実質Connorのボーイソプラノとしての声が聴ける最後のアルバムとなっています。


        1.Away In A Manger (まぶねのなかで)
        2.Silent Night (きよしこの夜)
        3.Sussex Carol (サセックスのクリスマス・キャロル)
        4.Once In Royal David's City (ダビデの村の)
        5.In The Bleak Midwinter (木枯らしの風ほえたけり)


 どれもクリスマスに良く聞かれる有名な曲で、天上に突き刺さるような伸びやかな透明感のある声で、それでいてゆったりと穏やかに、噛みしめるようにConnorは歌い上げています。
 
 どの曲も好きですが、特に3・4曲目が好きです。2曲ともConnorの重ね録りによる二重唱(?)となっており、ハモリがとてもきれいで、Connorの声の美しさがより際立ち強調されて聞こえます。特にダビデの方は、2つの異なるメロディーを同時に歌い、絶妙なハーモニーを聞かせています。以前にも書きましたが、やはりConnorの声に重ねられるのはConnorしかいないんだなあと改めて思いました。(個人的には、コナーとエドのニ重唱もいいと思いますが)

 また、サセックスの方は、Connorが歌うbacの曲の中で唯一アップテンポの曲です。とてもリズムが軽快で、Connorは上手く歌詞をメロディーに乗せて軽やかに歌い上げています。伴奏も雰囲気に合っていて、私は好きですね。特にこの2曲がおススメです!!



B「The Mermaid」(アルバム「air」より)
 「air」はbacの4枚目のアルバムで、すでにConnorは変声期を迎えており、ソリストはConnorの弟のEdwardPatrick、そしてAndrew Johnsonが務めています。
 しかし全11曲中、最後の第11曲目「The Mermaid」はConnorが本当に最後のソロを披露しています。もちろん変声期を迎えているので、ボーイソプラノの全盛期のような、華やかな高音ではなく、落ち着きのあるしっとりとした歌声になっています。音域としては、ソプラノというよりもアルトになるのでしょう。

 「The Mermaid」は、アイルランド北部に伝わる人魚伝説の歌。日本で言う「天の羽衣伝説」と同じモチーフだそうです。
 さすがにファルセットを使っているため、やや鼻にかかったような声に聞こえますが、前の10曲を聴いてきて最後にConnorの声になると、さすがConnor!!たっぷりとした落ち着きと貫禄が感じられます。曲調も、このときのConnorの声にピタリと合っています。

 輝くソプラノの声から落ち着きのある、少し低めになったアルトの声、これが本当に最後のConnorの声という儚さ、そして切ない想いが込められた歌詞…すべてが相まって、私にとっては何とも言えない切ない曲です。あ、でももちろんこの曲好きですけどね(笑)。



  

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