「Ye mortal wights」とportamento(ポルタメント)


1784_burrowes-consort.jpg さて、今回は音楽用語を交えながら、Connorの歌唱テクニックが際立つ曲を紹介したいと思います。
 まず、「Ye mortal wights」はConnorのソロアルバム「Consort Songs」の第12曲目の曲です。
 それから、portamento(ポルタメント)とは音楽用語で「音が区切られない声楽や弦管楽器で、二音を連結させ滑らかに演奏すること」です。portamentoをかけることで、直接的な音の変化を和らげ、優しく柔らかな印象を与える効果があると思います。
 portamentoは楽譜に提示されていることもあれば、歌い手の判断でアドリブ的に入れることもあります。私はあまり楽譜で見かけたことはなく、自分の好みで入れることがほとんどです。もちろん、アドリブで入れる場合はそれが効果的なこともあれば、ちょっとくどくなってしまうこともあり、歌い手・聞き手の好みに左右される面もあると思います。

 そこでこの「Ye mortal wights」なのですが、曲の2分10秒辺りで“and mischiefs mine, and…”という歌詞の部分があります。この“mine”から“and”に行くときに音がAs5(高いラ♭)からF5(高いファ)に変化するのですが、最初に聴いたときはportamentoをかけているように聞こえました。
 でもよくよく聴くと、“mine”の“ne”で力を抜き、さらに次の音が下がっているためにportamentoをかけているように聞こえるのかも…とも思いました。
 以前にも触れましたが、Connorはどんなに短いフレーズや単語の中でも必ず抑揚をつけており、力を込めるだけではなく適度に力を引く(抜く)場面がよく見られます。先ほど述べた箇所では、そのConnorの卓越したテクニックとわずかなportamentoが絶妙に合致しているように思います。
 その部分がportamentoなのか否かは、楽譜を見るかConnor本人に確かめるかしないとわかりませんが、どちらにしろConnorの素晴らしい歌唱テクニックの証には違いないですね。

 実はこの箇所に気付いたのはごく最近であり、今まで聞き流してしまっていたのですが、皆さんも今回紹介した箇所にちょっと耳を傾けて聴いてみてください。皆さんの耳にはどのように聞こえるでしょうか?



  

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